「漁師とニシン」不確実性

漁師がニシンを引き上げた。

ニシン「私はまだ小さいので、今日は逃がしてください。いずれ大きくなったら、私をつかまえてください。」

漁師「手元にある儲けを捨てて、不確かな希望をおいかけたら、俺はおろかではないか。」

たとえ小さくても、今ある儲けは、大きくても見込みにすぎない儲けよりものぞましいということをこの話はあらわしている。(イソップ寓話)

このお話は「不確実性」を理解するのに役立ちます。

将来の結果を事前に予測できないことを「不確実性」といいます。
例として、資産運用をかんがえてみましょう。

投資をおこなう人は、確実に得られる「効用」と、「不確実性」のある「期待効用」を比較して意思決定をすると考えられます。

このお話でみると、

  • 確実に得られる効用 → つかまえたニシン
  • 期待効用 → 今は逃がして、成長したらつかまえるニシン

ここで大事なのは、後者は、「つかまえられるかもしれない」ということです。つまり、ニシンをつかまえられる「確率」を考える必要が出てくるのです。

効用そのものを比べたら、「小さいニシン > 大きいニシン」です。

でも、手元にあるニシンを逃がして、それが成長して、またつかまるかどうかを考えた場合、漁師は「不可能>可能」と考えました。それがこのことばにつながります。

漁師「手元にある儲けを捨てて、不確かな希望をおいかけたら、俺はおろかではないか。」

不確実性についての詳しい説明は、こちらのサイトからどうぞ。

→「不確実性」(経済学道場)

 

「財」の分類

経済学では、さまざまな商品をまとめて、「」(goods)といいます。
財とは、人々の「必要」(wants:欲求)を充たすもの(thing)です。
ここでは、財について分類していきましょう。

経済財と自由財

まず、「希少性」(scarcity)があるかないかで分類します。希少性とは、「どこにでもあるものではない」ことです。

  • 経済財(economic good)・・・希少性のあるものです。生産や消費の対象になる財やサービスです。売買されます。
  • 自由財(free good)・・・希少性のないものです。対価を支払わなくても利用できるものです。空気などがこれにあたります。

経済学ではおもに「経済財」をとりあつかいます。

有形財と無形財

経済財は、形があるかないかで分類します。

  • 有形財(material good/visible good/tangible good)・・・形のある財です。
  • 無形財(invisible good/intangible good)・・・形のない財です。一般的に「サービス」(service)とよばれます。

「形のある財と形のないサービス」という使い方をしますが、経済学ではまとめて「財」としてあつかうのが一般的です。

生産財と消費財

有形財は、使い道で分類します。

  • 生産財(producer good/industrial good)・・・財の生産に利用される財です。
  • 消費財(consumer good/consumption good)・・・人間の欲望を直接満足させる財です。
生産財の分類

生産財は、流動資本財と固定資本財にわかれます。

  • 流動資本財・・・原料。生産量の増減に応じて変化する財です。
  • 固定資本財・・・機械、設備。生産を始める前に必要な財です。増減にかかわらず必要になります。
消費財の分類

消費財は、3つに分類できます。

  • 非耐久消費財・・・食品。長持ちしない財です。
  • 半耐久消費財・・・衣料品、靴など。
  • 耐久消費財・・・自動車など。長持ちする財です。

需要曲線と効用曲線

需要曲線」は、消費者の行動を表します。

右下がりの需要曲線

一般的に右下がりの形になります。これは、価格が下がると、需要量が増えることを表しています。

中学の公民では、これのことは当然のこととして学習しましたが、経済学では、「なぜ右下がりになるのか?」について、消費者の行動の理由を考えていきます。

欲望(効用)の世界

経済学が想定する世界では、人々は、自分の欲望に忠実です。消費者は、自分の満足感(効用)を増やすように行動します。この効用は、「効用曲線」で表されます。効用曲線は、「限界効用逓減の法則」により、次のような形が一般的になります。

ただ、この効用曲線だけでは、「需要曲線」の内容を説明できません。

なぜか?

モノの値段である「価格」と、お買い物に使えるお金、つまり「予算」について考えていないからです。

ただ、この価格についても、正確に考える必要があります。たとえば、1個100円のパンが、1個200円になったとしましょう。これは、値上げです。でも、パン以外の商品の価格が10倍になったとしたらどうでしょうか?名目的には値上げですが、実質的には値下げになります。

このように、財の価格について考える場合は、他の財の価格と比較する必要があります。このような価格の考え方を「相対価格」(relative price)といいます。ある財について、この「相対価格」を考える場合、(当たり前ですが)別の財についても取り上げる必要があります。

よって、説明のために、「2つの財」について考えることになります。ここから、「無差別曲線」と「予算制約線」の分析につながります。

限界効用とは?

価格の決まり方を分析するミクロ経済学で、最初の頃に学ぶテーマです。ややこしいので、まずはイメージをつかんでください。

限界効用逓減の法則

うまい!!!

うまい!!

たしかにうまいんだけど、もうひとつ工夫がほしいね。

普段の生活でよくあるケースです。実は、これがミクロ経済学では非常に重要な前提となります。

言葉の意味をみていきましょう。

効用 utility

商品を買うと、満足感が得られます。この満足感を経済学では効用utilityといいます。この満足感(効用)は、数値で測れると仮定して、話をすすめていきます。

買った量(消費量)と満足感(効用)の組み合わせを式で表したものが「効用関数」であり、グラフで表したものが「効用曲線」です。これはたとえば、魚を10尾買って消費したら、100の満足感を得られたという形になります。

限界効用 marginal utility

新たに1単位買って、さらに増えた満足感(効用)を限界効用marginal utilityといいます。上の例でみると、10尾を消費した後で、さらに1尾を味わったら、どれだけ満足感が増えるかを表します。

仮定

「飽きることは無い」と仮定します。これは、消費すればするほど、効用は増えていくことです。ただし、この効用の増え方は、だんだんと少なくなっていきます(一般的なケース)。このことを、限界効用逓減の法則law of diminishing marginal utility(直訳:減っていく限界効用の法則)といいます。この様子を、グラフで表すとこうなります。

横軸のXは商品の消費量、縦軸のUは効用です。

ここで注意していただきたいのは、満腹になったからこのように感じるのではないということです(さきほど、「飽きることは無い」と仮定しました)。たくさん消費できれば、それだけ効用は増え続けます。でも、増え方が小さくなっていくということです。

ところで、この「限界効用逓減の法則」は、身近な感覚から導き出されたものといいました。

ということは他の例もあるということです。一応みていきましょう。

注意

バイオレンスな表現が続きます。

 

限界効用一定

うはは!!!

うはは!!!

うはは!!!

グラフで表すとこうなります。

別のケースもあります。

限界効用逓増

これは、消費量が増えれば増えるほど追加的に感じる効用が高まっていくことを意味します。

ご覧のように、かなりあぶない様子です。

経済学では、「限界効用逓減の法則」のケースを理解しておけばOKです。

「限界効用」についてさらに学ぶにはこちら → 「経済学道場 1-1.限界効用