「財」の分類

経済学では、さまざまな商品をまとめて、「」(goods)といいます。
財とは、人々の「必要」(wants:欲求)を充たすもの(thing)です。
ここでは、財について分類していきましょう。

経済財と自由財

まず、「希少性」(scarcity)があるかないかで分類します。希少性とは、「どこにでもあるものではない」ことです。

  • 経済財(economic good)・・・希少性のあるものです。生産や消費の対象になる財やサービスです。売買されます。
  • 自由財(free good)・・・希少性のないものです。対価を支払わなくても利用できるものです。空気などがこれにあたります。

経済学ではおもに「経済財」をとりあつかいます。

有形財と無形財

経済財は、形があるかないかで分類します。

  • 有形財(material good/visible good/tangible good)・・・形のある財です。
  • 無形財(invisible good/intangible good)・・・形のない財です。一般的に「サービス」(service)とよばれます。

「形のある財と形のないサービス」という使い方をしますが、経済学ではまとめて「財」としてあつかうのが一般的です。

生産財と消費財

有形財は、使い道で分類します。

  • 生産財(producer good/industrial good)・・・財の生産に利用される財です。
  • 消費財(consumer good/consumption good)・・・人間の欲望を直接満足させる財です。
生産財の分類

生産財は、流動資本財と固定資本財にわかれます。

  • 流動資本財・・・原料。生産量の増減に応じて変化する財です。
  • 固定資本財・・・機械、設備。生産を始める前に必要な財です。増減にかかわらず必要になります。
消費財の分類

消費財は、3つに分類できます。

  • 非耐久消費財・・・食品。長持ちしない財です。
  • 半耐久消費財・・・衣料品、靴など。
  • 耐久消費財・・・自動車など。長持ちする財です。

限界効用とは?

価格の決まり方を分析するミクロ経済学で、最初の頃に学ぶテーマです。ややこしいので、まずはイメージをつかんでください。

限界効用逓減の法則

うまい!!!

うまい!!

たしかにうまいんだけど、もうひとつ工夫がほしいね。

普段の生活でよくあるケースです。実は、これがミクロ経済学では非常に重要な前提となります。

言葉の意味をみていきましょう。

効用 utility

商品を買うと、満足感が得られます。この満足感を経済学では効用utilityといいます。この満足感(効用)は、数値で測れると仮定して、話をすすめていきます。

買った量(消費量)と満足感(効用)の組み合わせを式で表したものが「効用関数」であり、グラフで表したものが「効用曲線」です。これはたとえば、魚を10尾買って消費したら、100の満足感を得られたという形になります。

限界効用 marginal utility

新たに1単位買って、さらに増えた満足感(効用)を限界効用marginal utilityといいます。上の例でみると、10尾を消費した後で、さらに1尾を味わったら、どれだけ満足感が増えるかを表します。

仮定

「飽きることは無い」と仮定します。これは、消費すればするほど、効用は増えていくことです。ただし、この効用の増え方は、だんだんと少なくなっていきます(一般的なケース)。このことを、限界効用逓減の法則law of diminishing marginal utility(直訳:減っていく限界効用の法則)といいます。この様子を、グラフで表すとこうなります。

横軸のXは商品の消費量、縦軸のUは効用です。

ここで注意していただきたいのは、満腹になったからこのように感じるのではないということです(さきほど、「飽きることは無い」と仮定しました)。たくさん消費できれば、それだけ効用は増え続けます。でも、増え方が小さくなっていくということです。

ところで、この「限界効用逓減の法則」は、身近な感覚から導き出されたものといいました。

ということは他の例もあるということです。一応みていきましょう。

注意

バイオレンスな表現が続きます。

 

限界効用一定

うはは!!!

うはは!!!

うはは!!!

グラフで表すとこうなります。

別のケースもあります。

限界効用逓増

これは、消費量が増えれば増えるほど追加的に感じる効用が高まっていくことを意味します。

ご覧のように、かなりあぶない様子です。

経済学では、「限界効用逓減の法則」のケースを理解しておけばOKです。

「限界効用」についてさらに学ぶにはこちら → 「経済学道場 1-1.限界効用

demand & supply

「需要」と「供給」の元となった、「demand」と「supply」を調べてみました。
出典は『ジーニアス英和大辞典』(大修館書店)です。

demand
本義「(上から)課する」
【動】(~を)要求する、必要とする
【名】要求、請求、需要

 

demandは中世ラテン語の「demandare(任せる、手渡す)」に由来するようです。
これは、「de-(強意)+-mand(課す)=沈黙・服従などをはっきりと命ずる」という意味があり、commandやrecommendと関連があります。

supplyとともにフランス語経由(ノルマンコンクエストの影響)で、名詞としては13c(1280年頃)、動詞としては14c(1382年頃)に使われだしたようです。

※the Norman Conquest
ノルマン征服:1066年;William the Conquerorの率いるノルマン人によるEngland征服

supply
本義「(足りないものを)十分に(sup)満たす(ply)」
【動】(~を)供給する、配達する、補充する
【名】供給、支給、必需品、備蓄

 

supplyはラテン語「SUP‐+plēre 」に由来するようです。これは、「sup-(十分に)+plēre (満たす)」という意味があります。

14c(1375年頃)に使われだしたようです。

似た単語にサプリメントがあります。
supplement:補足、増刊号、栄養補助食品
「supple-(満たす)+-ment(こと)」

demandには「よこせ!」、supplyには「どうぞ」というイメージがあります。

この原語から「需要」と「供給」としたのは、なかなか上手い訳だと思います。