7-1.政府の役割

公共財の提供

政府は、社会資本や公共サービスなどの「公共財」を供給します。

  • 社会資本(インフラストラクチャー)・・・道路、鉄道、電気、ガス、上下水道、学校、病院などの国民の生活の下支えをする公共施設です。
  • 公共サービス・・・警察、消防、国防、教育、医療などのサービスです。

市場と政府

市場経済においては、人々は市場での売買をとおして必要なものやサービスを手に入れ、価格の変化によって生産資源の効率的な利用が図られます。しかし、市場での売買だけでは、人々の豊かなくらしは成り立ちません。市場では供給されにくい公共施設(社会資本)をつくったり、医療や教育などの公共サービスを提供したり、あるいは社会保障のための支出を行ったりして、国民のくらしをよくするのは、政府の重要な役割です。(132-133P:下線部は引用者による)

人々が豊かな生活を行うためには、社会全体が安全である必要があります。

また、「みんなが使える施設」があると、社会全体で便利な生活ができるようになります。ただ、このような施設は全体ができあがって初めて使える性質 があります。よって、作りはじめのうちは、お金がどんどん出ていくだけです。このような財やサービスの提供は、利潤の追求を目的に活動している企業にとっ ては、かなり困難です。

また、安全にかかわるサービスの提供には注意が必要です。一般的に、市場でサービスを受ける場合には、代金を支払います。でも、火事がおきたとき に、「火を消すというサービスを受けるためには、お金が必要です。」というわけにはいきません。たとえ代金(この場合は税金)を納めていなくても、サービ スの対象からは除外できません。

よって、このような財やサービス(公共財)は、企業ではなくて政府が提供することになります。

財政とは

基本的にお金が儲かる活動は民間がやります。政府がやる活動は、お金が儲からない活動が中心です。よって、財やサービスを提供するためのお金は、社会全体から「租税」という形で集めることになります。

租税をどのように集めるか、そしてどのようにして使うかは、計画を立てて、国民に対して説明する必要があります。これらの活動をまとめて「財政」(public finance)といいます。

財政とは
政府(国・地方公共団体)が収入を得て、それを支出する経済活動のことを財政といいます。財政を行うには、あらかじめ予算を立て、その予算に従って収入(歳入)と支出(歳出)の活動を行わなければなりません。(130P:下線部は引用者による。)

  • 歳入(収入)・・・どのようにしてお金を集めるか。租税や公債。
  • 歳出(支出)・・・どのようにお金を使うか。

これらのしくみについて分析するのが「財政学」です。

→ 7-2.租税