05.ひめさまのタオル

騒然とした王の間の扉が、静かに開きました。
ひめさまが入ってきます。手には、ふかふかの白いバスタオル。
その後ろで、女官長はどうしてよいか分からず、おろおろしています。

「長官さま……」
ひめさまが声をかけると、財務長官は動きを止めました。

「あ、ひめさま……あ、あ、もうしわけ……」
嗚咽まじりの声です。
ひめさまは、そっとバスタオルを広げ、財務長官の肩にかけてあげました。
「風邪をひきますよ。」
「わーん!」
長官は子どものように泣き出しました。

その様子を見ていた商人の一人が、目を輝かせてささやきます。
「あれは売れる!」
すかさずもう一人の商人が首を振りました。
「もうだめだ、おっさんの汗がついてる。」
場違いなやりとりですが、空気が少しだけゆるみました。

PREV <  > NEXT