王宮の会議室では、国の代表者たちが、机を囲んで、緊張した空気の中で座っていました。
壁際には数名の記録係がひかえていて、視線を前方に向けています。
別の大きな机のまわりにも、たくさんの人たちが座っています。

(Geminiにて生成。)
そして、部屋の片隅には、ひめさまが静かに腰掛けていました。その側には、おつきの女官長がいます。
ひめさまは、まだこのような会議に参加する資格はありません。しかし、この会議では、ひめさまの「肩たたき券」から生まれた新しい通貨について話し合います。そのため、ひめさまも特別に参加することになったのです。

宰相が、王さまと視線をめぐらせます。王さまはゆっくりとうなずきます。
宰相が、ゆっくりと口を開きます。
「では、まず、この仕組みの実務的な確認からいきましょう。財務長官、説明を。」

長官は立ち上がり、机の上の木のお札を掲げました。
「これは、もとはひめさまが作られた肩たたき券です。しかし今や、これを通貨として流通させる案が持ち上がっております。詳しくはこの者から……」
長官が隣に座る若手官僚のシンイチを示します。
シンイチが立ち上がり、落ち着いた声で説明を始めました。
「担保は……『信用』です」
会議の空気が一瞬ざわつきます。
「信用? そんな曖昧なもので?」
「金や銀の裏付けがなければ、ただの板切れではないか」
「何を根拠に価値を持たせるのだ」
シンイチは表情を変えずに続けます。
「この券が人から人へ渡っていくこと自体が、価値を保証します。受け取った者は、必ず何らかの物や労働と交換できる……そう信じるからこそ渡すのです。」
しかし反論は止まりません。
「なら材質はどうする?木の板では数が足りぬ。」
「紙幣です。」
「紙?紙などすぐ破れるし、燃えるぞ」
「それに、紙幣はあくまでも『証明書』だ。金や銀との交換が前提だ。その裏付けがなければ本当にただの紙だ。」
議論が紛糾する中、王さまが静かに一言投げかけます。
「……そもそも、わが国の金庫に金や銀は残っておるのか」
一同、言葉を失いました。
長官が小さくうなずきます。
「民間にはございますが、国庫には……」
「ならば、最初から金や銀との交換を前提にせぬほうがよい。信用を基盤にした紙幣、それが新たな我らの通貨だ」
商人のひとりが、ぽんと手をたたきます。
「なるほど……そうなれば市場の動きは変わりますな。」
「物々交換や代用通貨の混乱も、収まるかもしれません。」
話し合いの輪がどんどん広がっていきました。
しばらくたって、王さまはうなずき、
「では、この方向で詳細を詰めよ。」とまとめました。
重苦しい空気が少しだけ和らぎ、王さまが手を叩きます。
「少し休憩しよう」