15.ふたたびひめさまのお部屋

会議室にはまだ、人びとのざわめきが残っていました。
商人たちは互いに肩をたたき合い、官僚たちは小声で何やら確認を交わしています。
王さまの前では、若手官僚のシンイチが深く一礼していました。

ひめさまは、女官長と目を合わせ、ほんの少しだけ笑みをこぼします。
その笑顔には、安堵と、どこか誇らしさが混じっていました。

……その後。
ひめさまは、お部屋に戻りました。
窓からは夕暮れの光が差し込み、机の上に置かれた宝石箱が淡く輝いています。

そこに、先ほど会議にも同席していた商人が訪れました。
買い取りの話は滞りなく進み、真珠の首飾りは丁寧に包まれて商人の手に渡されました。
「では、代金は国庫のほうへ。」
商人は一礼しました。

ふだんは口数の少ない彼ですが、この日ばかりは少し違いました。

「ひめさま。本日のこと、私め、たいへん感動いたしました。
あたらしい世の中になると、そう確信しております。
この真珠は責任をもってお預かりします。どうか……」

ひめさまは柔らかくうなずきました。
「わかりました。いずれまた。
――今日はほんとうに……」

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