7-3.公債

租税だけで支出を満たすことができない場合、政府は「公債」を発行してお金を借り入れます。

公債の発行
収入は原則として税金によってまかなわなければなりません。しかし、税金だけでは必要な収入を得ることができない場合、政府は税収の不足を補うために公債(国の場合は国債、地方公共団体の場合は地方債)を発行して借り入れを行います
公債は借金ですから、政府は公債を買った人に利子を支払い、元金を返済しなければなりません。安易に公債を発行すると利子の支払いや元金の返済がたいへんですし、将来世代に負担を回すことにもなるので、公債の発行は慎重に行わなければなりません。(131P:下線部は引用者による)

公債の特徴

公債にはいくつかの特徴があります。

  • 租税は強制的に集めますが、公債は自発的な購入に任せることができます。
  • よって、公債は、調達のコストが租税に比べて低くなります。
  • また、公債は、租税に比べると、導入のときの反対を少なくすることができます。
  • 短期間に多くのお金を集めることが可能です。
  • 返済を将来に延期することができます。
  • 返済を長期にわたって分散することもできます。
  • 人々が公債の購入にお金を使うと、貯蓄が減ります。このため、お金の流れを増やすことができます。
  • 租税に比べると、景気の影響を受けにくいという特徴があります。
  • ただし、「利子率」などの金融市場の影響は受けやすい性質があります。

公債の問題点

公債は確かに便利ですが、いくつかの問題点があります。

  • 財政の破綻の可能性があります。
  • インフレーションが発生する可能性があります。
  • (その理由)政府が公債を発行し、それを中央銀行が引き受ける場合を想定します。中央銀行が公債を購入すると、お金の量(マネーサプライ)は増大します。これが際限なく続くと、インフレーションが激しくなる可能性があります(よって、公債の中央銀行引き受けについては、現在の日本では財政法によって原則として禁止されています)。
  • 返済を租税でまかなう場合、公債を購入しなかった人々も返済を負担することになります。
  • 公債を購入するのは、比較的に所得が高い人たちです。
  • 公債を購入した人は、利子が得られます。最終的にこの利子は、公債を購入しなかった人にも負担が回ります。
  • よって、公債には、所得の低い人々から、所得の高い人々への、所得の再分配という性格があります。
  • 将来の世代の租税負担が増えるおそれがあります。

→ 7-4.財政政策