2023/07/29
電子書籍の新刊を出版しました。
【内容】
この本は、マクロ経済学の基礎的な内容をまとめたものです。サイト「経済学道場」(http://keizaigaku.jp/)で、受講生のみなさんに配布している「一問一答マクロ経済学」(簡易版)をもとに作成したテキスト「マクロ経済学書き込みノート」について、電子書籍として読みやすく再構成・加筆しました。
【もくじ】
はじめに Preface
マクロ経済学の全体像 Outline 「国が単位」の世界観
1.財市場 Goods and services market 「国民所得はどう決まる?」
2.貨幣・債券市場 Money and bond market 「古典派 VS ケインズ派」
3.IS-LM分析 IS–LM model 「財市場と貨幣市場が均衡する利子率と国民所得」
4.労働市場 Labor market 「物価、賃金、失業率」
5.経済成長理論 Economic growth theory 「最適成長、不安定VS安定」
6.国際マクロ経済学 International macroeconomics 「資本移動と為替相場」
あとがき Afterword
【特徴】
・各章のはじめに、「学習の目的」と概要を載せています。
・キーワードや重要な箇所は、( 太字 )という形で示しております。全体で393あります。
・グラフは57個あります。グラフの下には理解を高めるためのコメントを記しております。
本文は48,000字程度で、全体で156頁くらい(kindle換算)です。
試し読み(本文)
マクロ経済学の全体像 Outline
「国が単位」の世界観
ミクロ経済学では、「市場」という抽象化された世界をとりあつかいました。これに対して、マクロ経済学では、「国」を単位としてとりあつかいます。ミクロ経済学のように「市場」にまかせているだけでは解決できない問題があるので、それをとりあつかう「政府」の役割についてみることが多くなってきます
マクロ経済学では市場を3つに分けます。①財市場、②貨幣-債券市場、③労働市場です。
①「財市場」では、GDP(国内総生産)のきまりかたをみます。この「財」にはサービスもふくまれております。生産者と消費者のやりとりはミクロ経済学でもとりあつかいましたが、マクロ経済学では「国」という「マクロ」の視点でみることになります。
②「貨幣-債券市場」では、「貨幣」のしくみをみていきます。
③「労働市場」では、「労働」をとりあげ、おもに「失業」についてみていきます。
マクロ経済学の枠組みは、「ケインズ経済学」の考え方を土台としております。これはいわゆる「古典派経済学」と比較して学習する必要があります。とくに貨幣市場や労働市場では議論が分かれます。かんたんに言うと、次のようなメッセージになります(※)。
・古典派経済学 = 政府は余計なことをするな。
・ケインズ経済学 = 経済がうまくいかないときは政府の役割も大事だ
(※ミクロ経済学の土台となっている「古典派」は、かならずしも「市場にまかせておけばうまくいく」といっているわけではないのですが、入門編では単純化しておきます。)
1.財市場 Goods and services market
財市場では、「GDPなどの国民所得がどう決まるか?」をみていきます。国民所得とは、ある国が一定期間内に、新しい価値(付加価値)をどれだけ生み出したかをあらわしたものです。
2.貨幣-債券市場 Money and bond market
貨幣-債券市場では、「貨幣」と「債券」をとりあつかいます。貨幣に対する考え方について、古典派とケインズ派の違いをまなびます。
3.IS-LM分析 IS–LM model
IS-LM分析では、ここまで別々にみてきた「財市場」と「貨幣-債券市場」を、国民所得(Y)と利子率(r)でむすびつけて分析していきます。このモデルによって、「財政政策」や「金融政策」などの経済政策の効果をみることができます。
4.労働市場 Labor market
労働市場では、「物価」と「賃金」、そして「失業率」の関係をみていきます。
5.経済成長理論 Economic growth theory
経済成長理論では、経済成長率をとりあげ、最適な経済成長について分析します。 経済成長率とは、国民所得の成長率のことです。
6.国際マクロ経済学 International macroeconomics
国際マクロ経済学では、IS-LM分析について、海外部門を考慮に入れて分析をおこないます。
『マクロ経済学書き込みノートのまとめ』
こちらと合わせてご検討ください。
『ミクロ経済学書き込みノートのまとめ』
『数式とグラフを使わない経済学の予習: (付録)数式とグラフの考え方 Kindle版』