「金の卵をうむガチョウ」フローとストック

金の卵を生むガチョウ
ある男が神様から金の卵を生むガチョウを授かりました。ところが男は、金の卵が少しずつ生まれるのが待ちきれず、ガチョウの中身は丸ごと金だと思いこんで、殺してしまいました。でも、中身には金はまったく入ってませんでした。

このように、強欲な者は、もっと多くを欲しがって、今あるものさえ失うことがあるのです。
(イソップ寓話)

この寓話は、「フロー」と「ストック」という経済学の重要な考え方をつかむのに役立ちます。とくにマクロ経済学で重要です。

「国内総生産」(GDP)は、1年間に国内でうみだされた付加価値の合計ですので、これはフローになります。

「資本」(K)は、ある時点で「どれだけ存在するか?」ですからストックです。この資本を生産という活動に向けると、「投資」(I)になります。投資はフローと考えます。「1年間にこれだけ投資して、どれだけ儲かったか?」という考え方をするからです。


関連項目(経済学道場)

→マクロ経済学「1-1.国民所得とは何か?

「ウサギとカエル」一般均衡

この波紋のイメージが、

エッジワースのボックスダイヤグラムです。

→ ミクロ経済学(4)一般均衡「4-1.パレート効率性

なんと!

一般均衡とは?

「部分均衡」では1つの財をとりあげましたが、
「一般均衡」では複数の財をとりあげて、お互いに影響を与え合う様子を分析します。

そして、この「ボックスダイヤグラム」では、複数の登場人物(経済主体)の間で、複数の財をどのように分配するかをみていきます。

「漁師とニシン」不確実性

漁師がニシンを引き上げた。

ニシン「私はまだ小さいので、今日は逃がしてください。いずれ大きくなったら、私をつかまえてください。」

漁師「手元にある儲けを捨てて、不確かな希望をおいかけたら、俺はおろかではないか。」

たとえ小さくても、今ある儲けは、大きくても見込みにすぎない儲けよりものぞましいということをこの話はあらわしている。(イソップ寓話)

このお話は「不確実性」を理解するのに役立ちます。

将来の結果を事前に予測できないことを「不確実性」といいます。
例として、資産運用をかんがえてみましょう。

投資をおこなう人は、確実に得られる「効用」と、「不確実性」のある「期待効用」を比較して意思決定をすると考えられます。

このお話でみると、

  • 確実に得られる効用 → つかまえたニシン
  • 期待効用 → 今は逃がして、成長したらつかまえるニシン

ここで大事なのは、後者は、「つかまえられるかもしれない」ということです。つまり、ニシンをつかまえられる「確率」を考える必要が出てくるのです。

効用そのものを比べたら、「小さいニシン > 大きいニシン」です。

でも、手元にあるニシンを逃がして、それが成長して、またつかまるかどうかを考えた場合、漁師は「不可能>可能」と考えました。それがこのことばにつながります。

漁師「手元にある儲けを捨てて、不確かな希望をおいかけたら、俺はおろかではないか。」

不確実性についての詳しい説明は、こちらのサイトからどうぞ。

→「不確実性」(経済学道場)

 

「財」の分類

経済学では、さまざまな商品をまとめて、「」(goods)といいます。
財とは、人々の「必要」(wants:欲求)を充たすもの(thing)です。
ここでは、財について分類していきましょう。

経済財と自由財

まず、「希少性」(scarcity)があるかないかで分類します。希少性とは、「どこにでもあるものではない」ことです。

  • 経済財(economic good)・・・希少性のあるものです。生産や消費の対象になる財やサービスです。売買されます。
  • 自由財(free good)・・・希少性のないものです。対価を支払わなくても利用できるものです。空気などがこれにあたります。

経済学ではおもに「経済財」をとりあつかいます。

有形財と無形財

経済財は、形があるかないかで分類します。

  • 有形財(material good/visible good/tangible good)・・・形のある財です。
  • 無形財(invisible good/intangible good)・・・形のない財です。一般的に「サービス」(service)とよばれます。

「形のある財と形のないサービス」という使い方をしますが、経済学ではまとめて「財」としてあつかうのが一般的です。

生産財と消費財

有形財は、使い道で分類します。

  • 生産財(producer good/industrial good)・・・財の生産に利用される財です。
  • 消費財(consumer good/consumption good)・・・人間の欲望を直接満足させる財です。
生産財の分類

生産財は、流動資本財と固定資本財にわかれます。

  • 流動資本財・・・原料。生産量の増減に応じて変化する財です。
  • 固定資本財・・・機械、設備。生産を始める前に必要な財です。増減にかかわらず必要になります。
消費財の分類

消費財は、3つに分類できます。

  • 非耐久消費財・・・食品。長持ちしない財です。
  • 半耐久消費財・・・衣料品、靴など。
  • 耐久消費財・・・自動車など。長持ちする財です。