序章-01「ひめさまのお部屋」

これは、ひめさまが、まだちっちゃかったころのおはなしです。

電子書籍「プリンセスチケット -経済の寓話-(序章)ふたつの首飾り」の内容です。

1.ひめさまのお部屋

王宮の一室。壁には大きな肖像画がかかっています。
やわらかな微笑をたたえる王妃さまのお姿。
真珠の首飾りが、その肌に映えています。
その前で、ひめさまはじっと立っていました。
小さな両手で宝石箱のふたをそっと開けると、中にはただひとつ、真珠の首飾りが残っているだけです。
それはお母さまが残された大切なもので、王家にとっては、もう最後の宝物でした。

「ひめさま! 何をなさいます?!」
おつきの女官長が駆け寄ってきます。いつもは冷静な彼女も、このときばかりは声を上ずらせました。
ひめさまは何も答えず、首飾りにそっと手をかけます。
カチャ、と留め金の外れる小さな音がしました。
「いけません! それは、陛下の!」
女官長の声が鋭く響きます。けれど、ひめさまは静かに答えました。
「お母さまも、こうされたはずです。」
その声には、幼いながらもはっきりとした覚悟がこもっていました。
ひめさまは、お母さまのことばをおもいだしました。

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