カーテンを閉めた寝室は、やわらかな光に包まれていました。
王妃さまはベッドに横になり、少し元気のない顔をしています。
部屋の片隅では、ひめさまが小さな人形を並べて遊んでいました。

電子書籍「プリンセスチケット -経済の寓話-(序章)ふたつの首飾り」の内容です。
「こちらへいらっしゃい。」
王妃さまがやさしく手を差しのべます。
「なあに? おかあさま。」
ひめさまは人形を置いて、ベッドのそばへ駆け寄りました。
王妃さまは枕元の小箱をそっと開けます。
そこには、真珠の首飾りが白く輝いていました。
「これを。」
「くれるの?!」
「ええ。たいせつになさい。」
「つけていい?」
「もちろんです。」
王妃さまはひめさまの首にそっと真珠をかけます。
光を受けてころころと輝く珠が、ひめさまの胸もとで揺れました。
「似合っていますよ。とても。」
「ありがとー! 絶対大切にするー。」
王妃さまは微笑みながら言います。
「私だと思って。でも……」
「?」
王妃さまは小さく舌を出して、いたずらっぽく笑いました。
「それは、ただの石よ。」
ひめさまは、その言葉の意味がよくわかりませんでした。
けれど、そのときのお母さまの笑顔は、胸の奥にあたたかく残りました。
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