3-2.コストの壁

生産者は、消費者に商品を売って、お金を受け取ります。

商品1個あたりの「価格」に、売った数量をかけると、生産者が手に入れた「売り上げ」(総収入)が求められます。

この売り上げから、生産に用いた「費用」(コスト)を引いたものが、儲けとしての「利潤」になります。

  • 利潤 = 売り上げ - 費用

生産に必要なものを「生産要素」といいます。生産要素は、「土地」と「資本」と「労働」の3つにわけることができます。これらを利用する場合には、「費用」(コスト)を支払う必要があります。

土地

現実に人間が活動をするためには、場所としての「土地」が必要です。この土地は、「どこにあるか」という位置の違いと、「どのようなものなのか」にあたる質の違いがあります。 生産活動をおこなうのに適した位置と質をもつ土地は限りがあるので、そのような土地を利用するためにはお金を払う必要があります。これが「地代」です。この地代は、一定の期間、その土地を利用するために、いくら必要なのかをあらわします。そして、土地そのものの所有権をやりとりするときには、その土地の価格である「地価」を基準に売買がおこなわれます。

資本

生産活動をおこなうには、さまざまな「モノ」が必要になってきます。まず、もとになる「原材料」が必要です。原材料の形を変えるためには、道具、機械、建物などの「設備」も必要です。これらをまとめて「資本」 といいます。よく「先立つものはカネ」ということばをききますが、これは生産に先立って必要なものを買うために、「元手」(もとで)としてのお金が必要に なることを意味しています。 生産活動のために必要な「資本」を得るためには、お金を支払う必要がでてきます。このお金を「資本のレンタルコスト」といいます。

労働

この「資本」は、どんなにたくさん集めても、そのままでは新たな「価値」を生み出すことはありません。人間が手を加えて、はじめて新たな価値が加わります。この、資本に新たな価値を加えるプロセスを「労働」といいます。 「猫の手も借りたい」ということばがあるように、他者の労働を利用する場合はお金を払う必要があります。これが「賃金」です。

生産者はこれらの生産要素を手に入れるために必要な「費用」(コスト)を考慮に入れて、生産活動をおこなっていきます。

→  3-3.完全競争の仮定