消費者と同じように、生産者も「経済人」として行動します。消費者が「効用」を求めるのに対して、生産者が求めるものは「利潤」です。生産をおこなう企業の行動についてみていきましょう。
資本主義経済と企業
自給自足の経済とちがって、現代の経済では、企業が生産の役割を専門的にになっています。自動車会社や製鉄会社はもちろん、家族経営の農家や個人商店も企業です。小売店なども企業で、各種のサービスを生産しています。企業は、利潤を得ることを目的として生産活動を行います。利潤を生み出すもととなる資金は資本と呼ばれ、この資本という言葉をとって、わたしたちの経済は資本主義経済と呼ばれます。(114P:下線部は引用者による)
利潤を得るために生産者は「商品」を生産して販売します。この商品は「財」と「サービス」にわけることができます。
財
「財」(goods)とは、「形」のある「もの」です。食料品などは食べたらなくなります。お皿などはそのまま形が残ります。このように「どのように使うか」を考えると話がややこしくなるので、「財」は購入した段階で「消費」されたと考えます。
サービス
「サービス」(service)とは、「形のない」ものです。かんたんにいうと、「体験」のことです。楽しい時間をすごしたり、自分ではできないことを他の人にやってもらったりすることです。
希少性
財にしろ、サービスにしろ、売り買いされるのは、これらが「どこにでもあるもの」ではないからです。
「どこにでもあるもの」の例としては、「空気」があります。空気は人間にとって非常に重要ですが、わざわざお金を出して買うことはありません。なぜならば「どこにでもあるもの」だからです。
でも、ダイビングなどでは空気にお金を払います。なぜならば水の中には十分な空気が存在しないからです。
このように、数や量が限られていることを「希少性」(きしょうせい:要は「少ないこと」)といいます。経済学ではこのような「希少な」財やサービスなどの「資源」をどのように分配していくかを考えていきます。