6-1.貨幣の役割

お金(貨幣)には、3つの役割があります。

1.価値の尺度

お金は、商品の価値をあらわします。魚、野菜、お米、鉄、木、その他、さまざまな「モノ」、さまざまな「サービス」のひとつひとつを、「数値」で表現することができます。
商品の価値を、数字で一本化することによって、次の「交換」がしやすくなります。

2.交換の手段

お金があれば、商品と交換ができます。たしかに、モノとモノでも交換は可能です。でも、その場合は、お互いが相手のモノを欲しがっていることが前提となります。このようなお互いの意志がいつも一致するとは限りません。 でも、お金ならば、こういうことが可能になります。

  • 私の持っているこれを、相手は欲しがっている。
  • 相手は私の欲しいものを持っていない。
  • その代わり、「いつでもモノと交換できる”何か“」を手渡そうとしている。
  • その”何か“は、どうやら信用できそうだ。
  • じゃあ、私の持っているこれと交換してみよう。

お金という不思議な「何か」があることによって、交換の機会を広げることができます。

3.価値の保存手段

また、お金は、保管しておくことができます。

モノは、腐ったり古くなったりする可能性がありますので、「とりあえずとっておく」ということができない場合があります。

それに対して、お金は、基本的に腐ることはありません。「いまは使わないで、とりあえずとっておこう」ということができます。また、場所もあまり必要ありません。

このように、お金とはたいへん便利なものです。 お金は「機会(チャンス)」を広げます。

でも、欲しい人の手元に常にあるとは限りません。そこで、お金は「貸し借り」されるようになります。

お金の貸し借り

 

商品の売買とお金の貸し借り
商品の売買はお金(貨幣)を仲立ちにして行われます。商品を買うということは、お金をわたして商品を受け取るということです。 しかし、商品を買うためのお金は、必ずしも手持ちのお金である必要はありません。お金を借りることができれば、わたしたちは必要な商品を手に入れることができます。消費者が自動車や住宅のような高価な商品を買うときや、企業が設備投資を行うときには、銀行などからお金を借りることがふつうです。 お金を借りたいと思う人がいる一方で、お金を貸してもよいという人もいます。資金に余裕があり、お金をねかせておくよりは貸したほうが得だと考える人は、そうするでしょう。こうして、お金の貸し借りが成立することになります。(126P:下線部は引用者による)

他人のお金を利用する場合、その利用料を支払う必要があります。これが「利息」(利子)です。これが貸し借りで、おもに銀行などの「金融機関」がとりあつかいます。

お金の信用

お金が世の中できちんとやりとりされるためには、「いつでも商品と交換できる」という「約束」が果たされなければいけません。つまり「信用」が重要となってきます。
また、世の中に出回るお金は、多すぎても、少なすぎてもいけません。なるべく適切な量に調整する必要があります。

このようなことは、個人ではなかなかできないので、国レベルで信用を取り扱う機関が必要になってきます。現代の日本では、日本銀行という「中央銀行」が、この役割をおこなっています。

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