一般的に、国ごとに通貨は異なります。海外旅行などで訪れた国の商品を買う場合は、その国の通貨を用意しておく必要があります。
為替相場
ある国の通貨と、別の国の通貨を交換するときの交換比率を「為替相場」(exchange rate:為替レート)といいます。
「為替相場」は、現在では以下のように、外国の通貨の価値を自国の通貨であらわします。
- 「1ドル=120円」
これを「自国通貨建て為替レート」といいます。
この為替相場の制度には、「固定相場」と「変動相場」があります。
固定相場制度
- 各国の間で、為替レートを固定する制度を「固定相場」制度といいます。日本では、1949年から1971年まで、「1ドル=360円」の固定相場の時代が続きました。1971年以降、円は段階的に切り上げられ、1973年から「変動相場」制度に移行しました。
変動相場制度
- 外国為替が売り買いされる市場を「外国為替市場」といいます。
- 変動相場制度は、この外国為替市場において、外国通貨(外貨)に対する需要と供給を通じて、為替レートを自由に決める制度です。
外国為替市場
国際的な経済取り引きにともなう通貨交換によって、銀行の保有する各種通貨の残高が変化します。例えば、日本のある銀行では保有するドルが増え、他の銀行 では逆に減っているということが起こります。その結果、銀行間でドルの売買が行われ、この売買を通じて円とドルの交換比率が決まります。外国通貨を銀行間 で売買する市場が外国為替市場です。
世界の外国為替市場で円売り・ドル買いの動きが強まると、円安・ドル高になり、円買い・ドル売りの傾向が強まると円高・ドル安となります。海外旅行をするときの通貨の交換は、外国為替市場で決まる為替相場にもとづいて行われます。(145P)
ここで重要なのが、「円高」と「円安」の区別です。
円高と円安
- 「円高」とは、「円の価値が増える」ことです。これを「増価」といいます。
- 「円安」とは、「円の価値が減る」ことです。これを「減価」といいます。
【問】「1ドル=100円」が「1ドル=120円」になるのは、「円高」ですか、それとも「円安」ですか?
→ 【答】円安です。なぜならば、今までは100円で買えたアメリカの商品が、こんどは120円払わないと買えないからです。これは、円の価値が下がったことになります(円安)。
為替相場と貿易の関係
- 「円高」は、円の価値が高い状態です。同じ円の額で、海外の商品をもっと多く買えるようになります。よって、「円高は輸入に有利」になります。
- 「円安」は、円の価値が低い状態です。海外の人にとっては、安く日本の商品を買うことができます。よって、海外への輸出は増えるので、「円安は輸出に有利」になります。
為替相場と金融の関係
お金は、商品を買うために使うだけでなく、お金儲けをするためにも使えます。財やサービスのやりとりは「経常収支」といいます。これに対して、お金でお金を儲けるためにやりとりする場合は、「資本」のやりとりということで、「資本収支」といいます。
- 為替相場は、この資本のやりとりにも影響を与えます。
- 資本のやりとりは、国内の金融機関の利子率とも密接な関係があります。
(やや難:モノやサービスのやりとりである「経常収支」と、資本のやりとりである「資本収支」をまとめたものが、「国際収支」になります。国と国の経済的なやりとりを全体としてまとめたものが、この国際収支になります。)
→ 8-3.貿易政策